デンマーク徒然草

デンマーク徒然草

つれづれなるままに、 デンマークの日暮らし、PCに向かひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ

デンマークの春

令和4年4月 ** 2022.4 

今からおよそ700年前ほどに吉田兼好が書いたとされる随筆の徒然草の冒頭のフレーズ、まさしく今はこれをブログと呼ぶ。つまりブログって、カタカナコトバになっているがなんのことはない古くからあったわけである。兼行法師と比べるのは恐れ多いけど、令和4年、私も徒然とここデンマークの日暮らしの話を書き溜めていくことにした。日頃は西暦しか使わないので、元号がさっぱり分からなくなっている。でも随筆(ブログ)をしたためると決意し、デンマーク徒然草を創刊するにあたってはあえて令和を使わせていただこう。そう、東の日出る国から出て来た私は、今では日本のそんな風習に魅かれたりびっくりしたりするデンマーク人の目を持ち始めている。

私が最後に日本を後にしてデンマークに来てから13年目を迎えた。延べでは15年以上。もし初めて移住した時から引っ越しを繰り返さなければ29年になる。初めてきた90年代のデンマーク…あの頃は、土曜日の2時から日曜日はお店も全部閉まって目抜き通りのストロイエからは人が消えていた。東京との格差に唖然とした。それが今や世界幸福度2位、SDGs達成度3位、デジタル政府1位などの羅列なのだから変われば変わるものだ。

さて、第1回目のテーマは春。デンマークでも3月ぐらいからは春めいてくる。まだ10度以下で寒いけど太陽の光が変わってくる頃に夏時間も始まる。クロッカスの花があちらこちらで咲き始める。我が家にも黄色や紫が顔を出していたがようやく開き始めた。クロッカスの前にはまず黄色いエランティス(節分草)、白いスノードロップがまだ凍えるような時期に出てきて、ああ春が来たのか、と希望を抱かせてくれるのだ。年齢とともに王道の「趣味の園芸」街道を走り始めた私とデン人夫は、この10年ほどは家庭菜園に精を出し、季節ごとの花を見にいくのが楽しみになっている。クロッカスが綺麗なのはなんと言ってもコペンハーゲン市内のRosenborgだった。「だった」と言うのは先日見に行ったら何も咲いていない。と言うより花自体が花園からなくなっていた!!でも大丈夫。実はクロッカスならここしかない、と言う取っておきのスポットを私たちは去年発見しているからである。それはGentofte市にあるCharlottenlund Palace 。「お城」と言うには本当に名ばかり、そのこじんまりとした白亜の館は今はオフィスやイベントセンターになっているのだけど18世期に王家の夏の別荘地として建てられた。そのお城の正面の小さな庭にこの時期クロッカスが咲き乱れるのである。日本の梅や桃の花を見上げる楽しむ3月、デンマークではこのように土からやっと出てきた素朴な小さなお花を愛でる時期。白と紫のミックスのこのお花畑は、地味だけど相当頑張っている。デンマーク人は季節を問わず散歩をする国民である。寒くても防寒着を来て森やら公園やら海沿いを歩く歩く歩く。クロッカスの庭はそんな近隣市民のお散歩コースとしてこの時期の楽しみの一つになっている。

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